エリアだけでなく、家によっても違う結納。ここでは新潟で一般的な結納のカタチをご紹介
彼から彼女へプロポーズするように、彼の家族から彼女の家族へ結婚の申し入れをする儀式が日本にはあります。それが「結納」。しかし、時代とともに変化し、結納の目的は、両親の引き合わせや、結婚の段取りを行うモノになりました。結納式では5品以上の結納品を贈るのが一般的だが、豪華さを競うのが目的ではなく、大切なのは、以下にまとめる4つの気持ちです。[誓い]彼の家族が、彼本人と同じように、彼女を大切にすると誓う。[承認]彼側からの誓いに対して、彼女の家族がそれを認める。[感謝]これまで彼女を慈しみ育ててきた彼女の親を全員がねぎらう。[祝福]彼女が暮らす地域のみんなに結婚を知らせてお祝いする。
イマドキの結納は、仲人を立てず、ホテルや割烹で行うのが一般的
イマドキの結納はふたりが主催者となり、結納プランのある式場やホテル、割烹などで行い、会食を通して両家の親交を深めるスタイル。しかし、親世代は伝統的な結納を望むことも多いので、事前によく話し合って決めましょう。結納の役割を兼ねて、婚約記念品の交換など、セレモニーの要素も入れるのがイマドキのスタイル。場が引き締まって、けじめを感じることができます。
結納当日は、彼側からの結納品や、婚約記念品の準備が必要。婚約指輪など製作に時のかかるアイテムなら、食事会の日からさかのぼって2ヶ月前には購入しましょう。
● 両親に「ふたりにまかせる」と言われたら・・・
イマドキ結納をすることを両親に報告。ここで、きちんと古式ゆかしい結納を望む両親の場合は意見が出ます。意見が出ない場合は、二人が率先して動くべき。
● 会場を決める
会場については、料亭や式場で両家が集って行います。ただ、彼女の家に彼の家族が訪て行う場合もあります。会場の決定については、必ず両親に確認しましょう。会場が決まったら、記念撮影などが出来るかスタッフに確認しておきましょう。
● 両家の日程を決める
まずは各自の両親に都合を聞く。あらかじめ二人で大安吉日などの日付の候補を決めておくと決まりやすい。
● 結納品・結納金・記念品・引き出物などを決めておく。
結納のスタイルによって品物の格式を決めるのではなく、二人や両親がしたいことを持ち込むべき。食事会会場でも結納品を持ち込んでかまいません。
● 結納品
地域によって様式が異なりますが、新潟地方は7品が多く見られます。基本的に女性の地域に合わせて用意します。それぞれおめでたい意味のあるものなので、持ち込むことでお祝い感や儀式感が強まります。なくても構いません。目的は品物を納めることではなく「結」を納めることなので、両家が集うことに重きを置きます。
● 結納金について
結婚する二人の準備資金として使われることの多い結納金の額は新潟の場合、きりの良い数字で50万円か100万円が多いようです。結納金は男性の家側から女性の家側に贈られるもので、女性側もお返しとして金額の半返し、もしくは品物で返します。結納返しの相場は現金であれば半返し、品物であれば3割から7割返しが妥当。特に現金の場合は女性の両親が用意するので、事前に男性の両親へ金額の確認が必須となる。
● 記念品
女性に渡す記念品は、は1位指輪、2位ネックレス、3位時計など、男性に渡すお返しは、1位腕時計、2位洋服類、3位パソコン・家電類となっています。製作日数のかかるものが多いので、事前に用意しておく必要があります。当日は結納品があれば同じように並べて、なければメインの記念品として上座に飾っておきます。
● 引き出物
会食の後に、引き出物をつけるかどうかを確認。たとえば地元の特産品を手土産にするなど、両家の地域柄・家柄の見える内容を用意することが望ましい。なくても構わない。
● 当日の流れ(結納式+会食)
30分ほどの式と約2時間の会食が一般的。2時間ほどの時間をかけて、ゆっくりお互いの親睦を深めましょう。
結納の進行は彼側が基本的にリードします。そして、彼女の親の気持ちを第一に。場所と時間はお互いに相談。それ以外は彼側が「こうしてあげたい」と思う気持ちを優先して進めましょう。
● 食事会の会場は「料亭」がトップ
両家が落ち着いて親睦を深められる場所を選ぼう。出席者の好みを考慮することも大切です。時間は親の都合を優先しましょう。
● 当日用意するもの
彼女側:結納品のお返し/結納金のお返し/家族書・親族書/婚約記念品
彼 側:結納品/結納金/家族書・親族書/婚約記念品
● 交換する記念品ランキング
彼女側:1位・腕時計42%/2位・洋服類20%/3位・パソコン・家電類7%/4位・その他31%
彼 側:1位・指輪90%/2位・ネックレス4%/3位・時計3.9%/4位・ピアス・イヤリング0.6%
結納の品は、先人が長い時間をかけて、カタチ作ってきたもの。ひとつ一つに意味が込められている。
● 彼女側
①熨斗/干しあわびを模した品です。長寿不老を意味します。
②袴料(結納返し)/現代の洋服代の意味です。
③寿栄廣(末広)/一対の扇子、末広がりを意味します。
● 彼側
①目録/結納品をひとつひとつ書いたものです。
②熨斗/干しあわびを模した品です。長寿不老を意味します。
③寿栄廣(末広)/一対の扇子、末広がりを意味します。
④御帯料(結納金)/小袖料や御帯料と表記され、現代の洋服代の意味です。
⑤友白髪/白髪になるまで夫婦仲良くという意味。
⑥子生婦(コンブ)/子宝に恵まれますように、という意味。
⑦寿留女(スルメ)/かめばかむほど味が出る夫婦に、という意味です。
彼側の結納品に対して、お返しの準備をしよう。また、当日のおもてなしの準備もぬかりなく。
● 結納返しのお飾り
彼側からの結納飾りと違うのは、サイズがひとまわり小さくなるということと、のし紙が緑色になる場合がある。エリアによっては必要ないこともある。
● 結納金のお返し
「小袖料」に対して「袴料」と表記する。酒料や魚料は彼側と同額、袴料は小袖料の1割程度が基本。ただし、そもそもお返しをしないエリアもあるので事前確認を。
※ 結納金返しの平均額
上越エリア・・・17万円/中越エリア…19万円/下越エリア…28万円
● 婚約記念品
これといったしきたりはないが、腕時計やスーツが一般的。彼女本人からのプレゼントとして用意するといいでしょう。結納返しの品物として、彼女の家から用意することも。
● 家族書・親族書
今もエリアによっては同居家族や親族が結納に列席するのは当たり前のこと。親と本人のみで行うなら、家族書や親族書を交わしてもいい。結納品店にお願いできる。
結納飾りと結納金を中心にそろえましょう。彼女側の都合を十分に考慮することが大切。
● 結納飾り
室町時代以降に定着した。新潟ではお茶が加わるなど、地域によって違いがあるが、品数を奇数にするのが基本。彼女側の地域のしきたりや住宅事情などを踏まえて選ぼう。
● 結納金
結納にまつわるお金も元は品物でした。小袖、酒、魚が現金化。それぞれ小袖料(結納金)、清酒料(酒料)、松魚料(魚料)と呼ばれている。地域によって名称や相場はさまざま。事前に専門店で確認を。
※ 結納金の平均額
上越エリア・・・97万円/中越エリア…109万円/下越エリア…105万円
● 婚約記念品
欧米式の婚約記念品も、日本式の結納品も、誓いの意味は同じ。結納飾りに加えるなら、奇数に整えるために、もう一品加える必要がある。彼本人からのプレゼントとして、結納品と分けても構わない。
● 家族書・親族書
家族書と親族書を交わすかどうかは両家次第。ただし、片方だけが用意して、もう片方は用意していないのはNG。事前に示し合わせておき、目録や受書と同様、結納品店にお願いしよう。
● その他
上記のほか、目録を渡す時に必要なのが、塗りのお盆の広蓋(ひろぶた)、白木のお盆の片木(へぎ)、目録の上からかける袱紗(ふくさ)。すべて結納品を購入する店で取り扱っている。
準備さえしておけば、当日の結納式はとっても簡単。戸惑うことがないように流れをシミュレーションしておこう。
● 会場入り(会場がテーブル席の場合)
場所と時間を決めて、両家同じ時間に集まりましょう。段取りは、新郎が率先して行いましょう。参加者全員が入室したら結納品をテーブルの上座側に飾る。新郎側が持参した結納品は新郎側に、新婦側が持参した結納品は新婦側に置く。昔は、結納品のやり取りであったので、新婦側にも同じ量の結納品が用意されたが、現在は受書と結納返し、記念品の3点のケースが多い。結納品がない場合は新郎の誘導で席へ進む。
● 着席
新郎の誘導の元着席。席順は、上座から本人、父親、母親、兄弟の順で、新郎側と新婦側が向かい合うように。

● 新郎から趣旨説明
まず、新郎が「本日はよろしくお願いします」とあいさつをし、一同礼をする。
● 新郎自己紹介
新郎が自己紹介をします。名前・生年月日・趣味・勤務先など。
● 新郎、両親紹介
新郎から新郎の両親を紹介する。名前・生年月日・趣味・職業など。
私、■■■■は1980年●月●日生まれ、現在●歳です。仕事は、●●に勤めており、●●を行う仕事をしております。
趣味は、マラソンやサイクリングなどのアウトドアです。
私の隣におりますのが、父●●です。仕事は・・・
父の隣におりますのが、母の●●です。
母は、現在●歳で・・・
● 新婦自己紹介
新婦が自己紹介をします。名前・生年月日・趣味・勤務先など。
● 新婦、両親紹介
新婦から新婦の両親を紹介する。名前・生年月日・趣味・職業など。
私、■■■■は1980年●月●日生まれ、現在●歳です。仕事は、●●に勤めており、●●を行う仕事をしております。
趣味は、映画鑑賞やショッピングです。
私の隣におりますのが、父●●です。仕事は・・・
父の隣におりますのが、母の●●です。
母は、現在●歳で・・・
● 新郎の父あいさつ
新郎の父から、「このたびは○○様と私ども○○に、またとないご縁を頂戴しまして誠にありがとうございます」などとあいさつを述べた後、一同深く一礼。
● 新郎側から結納品を納める
新郎の母親が上座に進んで目録のみを持ち、新婦の前に置き、軽く礼をして戻る。目録とは、結納品の内容を記した書付のこと。結納品としては数えない。
新郎の父が「そちらは○○からの結納の品でございます」と述べ、新郎側一同が礼をする。
目録を届けた後・・・
そちらは○○からの結納の品でございます。
● 新婦側目録確認
新婦側は新郎側の礼を受けて、一同が礼をする。まず新婦が目録を開いて目を通し、続いて新婦の父親、母親と読んだら新婦へ戻し、目録を元通りにします。そのあと新婦から「ありがとうございます」と、礼を述べます。それを受けて、新婦の母が上座に進み受書を持ち、新郎の前に置き、軽く礼をして戻る。新婦の父が「ありがとうございます。喜んで納めさせていただきます」と述べ、新婦側一同が礼をする。
● 婚約記念品のお披露目をする
目録と受書をかわしたら結納式は完了。新郎から新婦へ記念品を渡す。新郎と新婦は立ち上がって部屋の前方へ移動する。
「こちらが○○さんに用意させていただきました婚約指輪です、これからの決意込めまして、贈呈させていただきます」などと言葉を添えて新婦の左手薬指に着けます。この時に記念の撮影も行いましょう。
これからの決意込めまして、皆様の前で贈呈させていただきます。
● 新郎新婦挨拶
結納を終えての挨拶を新郎から伝えます。決意表明。
未熟者のふたりですが、力を合わせて頑張りますので、温かく見守ってください。
● 両親あいさつ
新郎の父、新婦の父の順で「本日はありがとうございました」などの挨拶を入れる。最後に、新郎より「本日はありがとうございました」とあいさつが入り一同礼をする。
彼女父:本日はありがとうございました・・・

● 記念写真を撮る
結納にかかる時間は30分ほど。「想像していたより簡単」「やって良かった」と感じるカップルが多い。祝い膳の準備が整うまでの時間を利用して、双方の家族で記念撮影をしましょう。撮影は、自分のカメラを持っていき、シャッター押しをお店スタッフにお願いしましょう。但し、事前にお店のスタッフにお願いするのがポイント。

● 祝い膳に移る
結納式は緊張を伴うものだけど、全員で力を合わせてやりとげた後の祝い前は格別。お酒も入ってすっかりラックスムードに。家族の絆が深まった!と実感できる瞬間だ。
この時、挙式のスケジュールや内容について、打ち合わせをするとよいでしょう。
● イマドキの結納 費用配分ランキング
女性側が精算する…………50%/男性側が精算する…………30%
二人が精算する……………18%/両家折半……………………2%
※どちらかの家が精算した場合、酒肴料として、一人5000円程度包む。

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頂いた結納品はどうしたらいい? |
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ご近所や親戚にお披露目。羽子板等へ加工もできる しばらく床の間に飾っておき、お祝いに訪れた人たちにみてもらおう。お飾りの加工や神社への納め方は、結納品店に相談してみよう。 |
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結納に兄弟も参加していいの? |
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家族の大事なイベントです。ぜひ参加してもらおう 結納は家族のイベントなので、兄弟が参列してもかまわない。特に彼女の家で行う場合は、同居する家族が参列するのはごく自然なこと。 |
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結納の時の服装は? |
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なるべくフォーマルな、服装で。 結納は、歴史ある儀式です。服装に決まりはありませんが、なるべくフォーマルな服装が良いでしょう。女性は、着物か礼服など。男性はスーツが好ましい。一応は、ふたりで相談して、参加者に服装のトーンを合わせるようにしましょう。 |
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結納金を自由に使って良い? |
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結納金はふたりでなく彼女の親が使い方を決める 結納金はふたりが勝手に使っていいお金ではない。「新生活応援金」と名を変えて、親からふたりに贈られたら、ありがたく使わせてもらおう。 |
結納のする、しないは、自由です。しかし、歴史ある結納の儀式は、ぜひしてほしいと、プロマガは考えています。